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2016年01月14日

作り手の責任

納入実績を調べると、今までに2回は特需があったと思います。

1回目は昭和22年頃から5年間ほど。
大戦中、金属供出令により江戸時代以降の梵鐘が姿を消しました。
終戦後、多くのお寺で再鋳造が行われました。

記録には大手造船業作など、なんでもありの状態であったと推察されます。

もうひとつは昭和60年代から平成初頭に作られた
「親鸞聖人」の銅像です。
親鸞聖人ですから浄土真宗のお寺です。
原因は定かではありませんが、何らかの仕掛けがあったと想像できます。

さて、梵鐘は60年以上経つわけで
色々な問合せが来ています。

・ひび割れていないか?
・音がどうも悪い感じがする
・吊金具は大丈夫か?

昨年、関東のある寺院から「どうも音が悪い」という問い合わせがありました。

結局、再鋳造の結論をされたのですが
引き揚げてきた梵鐘を調べて、当時の様子が浮かびます。

梵鐘の大きさは3尺2寸になっていますが
実際は3尺1寸程度。
重量は今のカタログでは1.2tとなっていますが
実重量は825kg。

昔は重量(1貫単価×貫数)で値が決まっていたようです。

つまり、裏付ける製品仕様書なども発行されず
メーカーの意向で収められたと推察できます。

ここでネガティブキャンペーンをするつもりはありません。

メーカーとして、「梵鐘」をどのように捉え、
次世代に残る確かな製品づくりと
撞き手の思いが叶えられるような音色づくり。

改めて、責任を感じた日になりました。

銅像の件、また改めてご報告します。


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Posted by 金壽堂 at 18:10│Comments(0)メンテナンス
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